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なぜバンコクは地震で揺れる?軟弱地盤の仕組みを解説

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なぜバンコクは地震で揺れる?軟弱地盤の仕組みを解説

バンコクが震源から遠くても揺れる理由を解説。バンコク・クレイによる増幅(最大6倍)と長周期地震動の仕組みを、研究データをもとにやさしく説明します。

AsiaProp編集部·
なぜバンコクは地震で揺れる?軟弱地盤の仕組みを解説

Photo by Road Trip with Raj on Unsplash

2025年3月28日、ミャンマー西部でマグニチュード7.7の大地震が発生しました。震源から約1,000kmも離れたバンコクで、なぜこれほどの揺れが感じられたのか——この疑問を持った方は多いはずです。

「タイは地震が少ない国のはず」という認識は正しいのですが、バンコクには特有の揺れやすさがあります。それは地震の頻度ではなく、都市の地盤に起因するものです。この記事では、バンコクがなぜ遠くの地震でも揺れるのか、そのメカニズムを科学的なデータをもとに解説します。

移住や居住を検討する際の「地震への正しい理解」として、ぜひ読んでみてください。

タイは「地震が少ない国」。でもバンコクは揺れる

タイは「地震が少ない国」。でもバンコクは揺れる

Photo by Ragnar Vorel on Unsplash

まず前提を整理します。タイは、日本のような地震大国ではありません。国内に明確な大きな活断層が少なく、日常的に体に感じる揺れが起きる頻度は非常に少ない。これは事実です。

しかし「揺れない」ことと「揺れの影響を受けない」ことは別の話です。

2025年3月の地震では、震源から1,000km離れたバンコクで「これまでに例のない強い揺れ」が体感されました。在住の日本人からは「体感で震度2〜3程度」という声が多く聞かれ、高層コンドミニアムの上層階では「立っていられないほどの揺れ」を感じた方もいました。これは偶然ではありません。バンコク特有の地盤と建物の構造が、遠くの地震の揺れを増幅させる仕組みが働いたのです。

理由①:バンコク・クレイ——軟弱な地盤が揺れを増幅させる

理由①:バンコク・クレイ——軟弱な地盤が揺れを増幅させる

Photo by Yavor Punchev on Unsplash

バンコクはもともと、チャオプラヤ川が蛇行する低湿地帯を埋め立てて発展した都市です。その地下には「バンコク・クレイ」と呼ばれる、水分を多く含んだ柔らかい粘土層が厚く堆積しています。

この軟弱な地盤が、地震の揺れを大きく増幅させます。

イメージとしては、ゼリーを入れたお椀を揺らすことを思い浮かべてください。お椀の底(固い岩盤)より表面のゼリー(軟弱な粘土層)の方が、はるかに大きく揺れる。バンコクの地下で起きていることは、これに近い現象です。

研究データが示す数字は小さくありません。複数の学術研究によると、地震の揺れがバンコクの軟弱地盤に入ると2〜4倍に増幅されるとされており、観測データではさらに高く3〜6倍に達するケースも確認されています(タイ国内外の大学研究・地震観測記録より)。

さらに、この軟弱粘土層の厚さはバンコク全域で均一ではありません。研究によれば、タイ湾に近い南部に向かって粘土層が厚くなり、北部や西部では薄くなる傾向があります。つまり、バンコク内でもエリアによって揺れやすさに差があるということです。

理由②:長周期地震動と高層ビルの「共振」

理由②:長周期地震動と高層ビルの「共振」

Photo by Simon PALLARD on Unsplash

もう一つ理解しておきたいのが、「長周期地震動」です。

大規模な地震が起きると、普通の揺れ(短周期の揺れ)に加えて、ゆっくりとした大きな振幅を持つ「長周期の揺れ」が遠くまで伝わります。この長周期地震動は、高層ビルの固有振動数と一致しやすい性質があります。

固有振動数が一致すると「共振」が起き、建物がより大きく揺れます。2025年の地震では、研究者の分析によって、15〜25階建ての建物が特に共振の影響を受けやすかったことが確認されています。高層階で「船に乗っているようなゆっくりとした揺れ」を感じた、という証言はこのメカニズムで説明できます。

バンコク・クレイによる増幅と、長周期地震動による共振——この二つが重なることで、震源から遠く離れたバンコクでも、体感として大きな揺れになるのです。

2025年ミャンマー地震で、バンコクに何が起きたか

2025年ミャンマー地震で、バンコクに何が起きたか

Photo by Waranont (Joe) on Unsplash

2025年3月28日の地震は、バンコクにとって「観測史上最大級の揺れ」でした。

最も注目されたのは、チャトゥチャックエリアで建設中の高層ビルが倒壊したことです。ただしこの倒壊については、後の調査で「鉄筋の一部が品質基準に達していなかった」という施工上の問題が指摘されています。倒壊したのは建設中のビルであり、完成済みのコンドミニアムやオフィスビルが崩壊して人命に関わる被害が出たケースは報告されていません(タイ・コンドミニアム協会2025年3月29日公式声明)。

一方で、完成済みのビルでも、中層階を中心に天井や壁材の剥落、内装の破損が多く確認されました。「建物が倒れる」という最悪の事態は起きなかったものの、地震が無縁ではないことをバンコク市民と移住者に改めて示す出来事でした。

この地震は、以下の点を浮き彫りにしました。

タイ防災局(DDPM)が地震後に継続的な被害情報の発表を始め、在タイ日本大使館・JICA・世界銀行が技術支援に入るなど、行政と国際社会が動き始めたこと。緊急地震速報的な通知アプリ(「Thai Disaster Alert」等)がこの地震を機に注目されるようになったこと。そして耐震基準の見直しを求める声が国内から上がり始めたこと——バンコクの地震対策は、2025年を境に変わりつつあります。

では、危険なのか?

では、危険なのか?

Photo by Anil Nallamotu on Unsplash

ここまで読むと不安になるかもしれませんが、正確に理解することが大事です。

まずタイは地震の発生頻度そのものが低い国であること、これは変わりません。今後も「毎年揺れる」ような国ではないのです。

そして2007年以降に建設された高層建築物は、地震を考慮した建築基準に従って設計・施工されています(タイ・コンドミニアム協会声明)。長周期地震動に対する課題は残るものの、設計自体は耐震を意識した世代の建物です。

「たまに遠くの大地震で揺れることがある」「完成済みの近年の建物は基準に対応している」「でも高層階では揺れをより強く感じる」——この3点が、バンコクの地震リスクの正確な姿です。

物件選びで気をつけるべき具体的なポイント(築年数・階数・施工会社・エリア傾向)は、地震に強いバンコクのコンドミニアムの選び方で詳しく解説しています。地震リスクの全体像はバンコク不動産の地震リスク完全ガイドをあわせてご覧ください。


※ 本記事は、タイ気象局・タイ防災局・在タイ日本大使館・国内外の大学研究(ResearchGate掲載論文含む)・報道をもとに作成しています。2026年6月時点の情報です。

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